オペラの名曲を聴こう _ ヘンデル 『セメレ』

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ヘンデル 音楽劇 『セメレ』

毎日聴くなら、モーツァルトのオペラやワーグナーの楽劇やシューベルトの歌曲よりはヘンデルのオペラやオラトリオの方が絶対にいいです。

 

 

ガーディナー

Handel: Semele, HWV 58 (Live) - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kMD4ZaP-eVCHaC4G5fk9xRn0VYFQz58oE

 

Orchestra: English Baroque Soloists
Conductor: John Eliot Gardiner

 

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ジョン・ネルソン指揮、アンブロジアン・オペラ合唱団/イギリス室内管弦楽団、バトル(S)ホーン(MS)ラミー(Br)他 

Kathleen Battle - Handel: Semele (1985) - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLopX713ArOghdnfz8UvHpy0zGvb_SwXtp

 

English Chamber Orchestra
John Nelson
℗ 1993 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin

 

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Handel / Semele, HWV 58 (Curnyn)


Semele (musical theatrical entertainment in three acts), HWV 58 (1743)
Libretto: William Congreve


Semele (soprano) - Rosemary Joshua
Iris (soprano) - Gail Pearson
Ino/Juno (contralto) - Hilary Summers
Athamus (countertenor) - Stephen Wallace
Jupiter/Apollo (tenor) - Richard Croft
Cadmus/Somnus (bass) - Brindley Sherratt


Early Opera Company, dir. Christian Curnyn (2007)

 


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甘い囁き、心を溶かす旋律! 禁断の愛を描く異色作ヘンデル「セメレ」

2024年12月2日
 https://puresmilesaiko.com/handel-semele-hwv58/

ヘンデル全盛期の異色作


ヘンデルは言うまでもなくバロック音楽を代表する大作曲家ですが、音楽の振り幅がとてつもなく広い人でした…。「メサイア」や「エジプトのイスラエル人」のように神を讃える作品を作るかと思いきや、「水上の音楽」、「王宮の花火」のようにまるで宮廷の優雅なひとときが眼の前に浮かぶ音楽を作ったりもします。そして世俗の色恋や人間模様を扱ったオペラの傑作の数々もヘンデルの押しも押されもぬもう一つの顔なのです。まさに「酸いも甘いも噛み分ける」巨人だったのかもしれませんね…。ギリシャ神話を扱った異色の音楽劇「セメレ」は彼が最も油が乗っていた1743年の作品です。ちょうどヘンデルは前々年に「メサイア」、前年には「サムソン」と続々オラトリオの傑作を発表していた頃でした。しかも「セメレ」は1743年6月3日から7月4日までのわずか1ヶ月ほどで書き上げられたというではありませんか……。いかにこの時代のヘンデルの創作力が凄かったかということを実感いたします。

オペラかオラトリオか?


ヘンデルの「セメレ」はオペラなのかオラトリオなのかということで、しばしば論議の的になるようです。「セメレ」は1744年、ヘンデルがオペラからオラトリオに完全に方向転換した時期に初演されています。一般的にはオラトリオと言えば聖書やキリスト教的なテーマを題材にした演技を伴わない音楽劇を指します。それ以外の演技や舞台装置を伴うドラマチックな音楽劇はオペラとして認識されるということらしいのですが、どうもこの境界線も怪しいものですね……。
 
 
オラトリオという言葉は音楽ジャンルとして意外によく耳にします。でもオペラほどメジャーではないし、はたしてオラトリオにどんな魅力があるのだろうか?と感じているかた…
そのためなのか、「セメレ」は演奏会形式による上演とオペラ形式による上演の二通りに分けられることが多いようです。でも同じ上演をするならば、オペラ形式によるものが面白いのは当然でしょうね!オススメ演奏でも紹介していますが、2019年にガーディナーがロンドンで公演を行った際は、同じオペラのステージ上にオーケストラと指揮者を配置して、興奮のるつぼと化したライブを実現したのでした。私としてはオペラだ!オラトリオだ!と目くじらを立ててどうするんだろう…という気もするのですが!? そのような学術的な区分けをするよりも、音楽として芸術として優れた作品であるかどうかということのほうがはるかに重要なのではないでしょうか! それよりも何より「セメレ」のアッ!といわせる名演奏がもっともっと…たくさん出てきてほしいというのが切なる願いです!

バロック音楽史に燦然と輝く傑作


「セメレ」はとろけるような甘い旋律、胸のときめきが劇中に充満しています。インスピレーションに満ちた楽想、美しい愛の囁きを歌うアリア、豊かな感情を漂わせる登場人物、劇的で神秘的なオーケストレーション等、どれをとっても傑出しているのです。ちなみに序曲を聴いてみましょう!緊張感漲るただならぬ気配にアッと驚かれることでしょう!しかも格調高くどこまでも音楽的な魅力いっぱいです。合唱はドラマの重要なポイントとして適材適所に置かれていて、作品にメリハリを与えているんですよね。たとえば第2幕最後のセメレとイーノがしみじみと歌うアリアに続いて、ニンフと若者たちが歌い交わす合唱。まるで霧が晴れたようなみずみずしさや神々しい響きを実感させてくれます!ドラマを盛り上げる手腕が見事で、忘れ難い印象を残してくれるのですね。そして何といってもアリアが多彩で充実しています!登場人物の性格を魅力的に巧みに描くヘンデルの音楽性は卓越していますし、有無をも言わせぬ表現力に唖然とさせられます。例えば憎しみと嫉妬に燃えたぎるジュノーの歌、底抜けに明るく素直な情感を醸し出すジュピター、そして心の想いをあるときは弾むように、ときには切々と綴るセメレのアリア……。

あらすじ

カドモス(テーバイ王)の娘セメレは、アタマス(ボイオティア王子)のいいなずけであり婚約者である。だがセメレが心から愛していたのは神々の王ジュピターだった。セメレとアタマスの結婚式が行われようとしていたそのとき、ジュピターが雷鳴をとどろかせ激しい嵐を見舞わせる。皆恐怖に怯え逃げ出したものの、アタマスと妹のイーノだけが残り、その間にジュピターはセメレを天上の世界へと連れ去る。キタイロン山の宮殿がジュピターとセメレの愛の巣と知ったジュノー(ジュピターの妻)は怒りに狂い、眠りの神ソムヌスの大切な魔法の杖を奪ってセメレへの復讐を誓う。イーノやドラゴンたちを眠らせたのち、イーノの姿に変身したジュノーはセメレのもとを訪れる。美しく映える鏡を見せながら、ジュノーはセメレに「ジュピターの本当の姿を見れば、あなたも不死の神となり、永遠の愛を得られるようになる」と偽りの情報を伝える。そしてジュピターには情欲を誘う夢を見させるのだった。ジュピターはセメレのもとへかけつけ、ステュクスの水に誓って「何でも願いをかなえる」という。セメレは「本当の姿を見せて」と願う。神聖な誓いを覆すことのできないジュピターは悲痛の想いでそのとおりにする。セメレは彼の真の姿である雷光の直撃を受けて、たちまちその炎で焼き尽くされるのだった…。やがてセメレがジュピターとの間に宿した子は、バッカスの神となることが約束され、人々はそれを喜び称える。

 

聴きどころ

序曲切れ味鋭い序奏と、運命の糸が絡んでいくテーマが印象的な序曲。どんどん内奥に入っていく展開がドラマの始まりを予感させる。 
 
Endless Pleasure,endless love(Semele)
「果てしないよろこび、果てしない愛を」と歌うセメレのアリア。弾むリズムであふれるような喜びや想いを歌いあげる。愛に満たされる女心を実に巧みに表現!
 
 There, from mortal cares retiring(Iris)
ジューノはセメレが宮殿で何をしているのかをイリスに伝えさせる。すると「隠れ家で彼女は甘い日々を送っている…」とまるで甘い囁きのように歌う。 
 
O sleep, why dost thou leave me? (Semele)
セメレが歌うバラード調でスローテンポの曲。「眠りよ、どうか覚めないで」としみじみと歌う。美しい記憶は空しく過ぎていく…。全体にそこはかとない儚さや切なさが漂う。
 
Lay your doubts and fears aside (Jupiter)
ジュピターのアリア。セメレの疑念を打ち消すような歌で「私はあなたと片時も心が離れていない…」「愛があるところに私も一緒にいる」と歌う。
 
Now Love that everlasting boy invites (Chorus)
ジュピターの意気揚々とした気持ちを代弁するようなご機嫌な合唱。愛と夢に向かって前進しするエネルギーが伝わってくる。   
 

Where’er you walk (Jupiter)

「あなたが足を踏み入れる所は花々が咲き乱れ、どこを歩いていても涼しげな風が木立を揺らす…」こんな最上級の言葉で称えられたら女性は堪らないかも…。優しさにあふれた音楽で、テノール歌手に愛される名曲中の名曲。

 

Prepare Then, Ye Immortal (Semele, Ino)

淋しさを募らせていたセメレは、ジュピターが遣わした妹イーノと相まみえる。これはセメレとイーノによる再会の喜びを分かち合う希望の調べ。

 

Bless The Glad Earth With Heav_nly Lays(Chorus)

前曲「Prepare Then, Ye Immortal」に続き、「天上の喜びと永遠の高みへ…」と歌われる合唱。神々しく厳かな情緒がなんとも感動的!

 

Leave Me, Loathsome Light(Somnus)

眠りの神ソムヌスのアリア。夢うつつの中で、まるで「美しい夢の余韻から目覚めさせないでくれ」と言わんばかりに気だるい感じを漂わせる。

 

Myself I shall adore(Semele)

イーノに扮したジュノーに鏡を見せられ、とびきりの美しさに映る自分の姿にうれしくて狂喜乱舞するセメレの様子が音楽で表現される。

 

Come To My Arms, My Lovely Fair (Jupiter)

愛する人を想う気持ちが意地らしいほどにあふれるアリア。愛おしさと切なさがぐんぐんと心の中に拡がるよう…。

 

Oh, Terror Astonishment! (Chorus)

ジュピターの炎に一瞬にして焼きつくされたセメレを悼む合唱。人間の運命と神の掟は絶対で、「私たちがあるべき位置を失うと孤独にさまよい、その流れに逆らうことはできない…」と歌われる。 

 

Happy, Happy Shall We Be (Chorus)

フィナーレを飾る合唱。セメレが胎内に宿していた子はバッカス神として君臨することが約束される。人々はそれを聞いて大いに喜び称えるのだった。

喜びと輝かしさを徐々に増し加えながら全曲の幕が閉じられる。

 

オススメ演奏

これほど素晴らしい作品なのに、演奏として無条件で推せる絶対的なCDは今のところありません。残念といえば残念なのですが、もしかしたら「セメレ」はこれから本格的にブレイクしていくのかもしれません。日本では依然マイナーな部類の作品ですが、充分な完成度と魅力を兼ね備えた作品だけにこれからが楽しみです……。 
 
アントニー・ウォーカー指揮カンティレーション、ライバーグ (S)アン・ラッセル (MS)モンゴメリー (S)
 
他ウォーカー盤はライブ録音ゆえの聴きにくさこそありますが、有機的な音のドラマとしての緊迫感や面白さは圧倒的で、通して聴くとこの作品の魅力が生き生きと伝わってくることでしょう。曲の本質を突いたウォーカーの指揮が素晴らしいし、自由奔放でエネルギーに満ちた合唱の素晴らしさも特筆に値します。 
 
 
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団、オルダー (S) ハイマス (T) リシャルドー (MS)他
 
 
ガーディナー盤は現時点では最もバランスのいい演奏でしょう。これは音楽の友社主催の2020年度 第58回「レコード・アカデミー賞」の声楽曲部門大賞を受賞した話題のライブ録音です!ガーディナーは1981年にも「セメレ」を録音していますが、演奏はずっと奥行きが深くなり、アリアの表情も潤いがあって魅力的。全般的に何度聴いても聴き疲れのしない音楽性満点の演奏といっていいでしょう。特に序曲の余計なものをすべて剥ぎ取ったような切れ味鋭い音楽はこの曲の新たな一面を見せてくれた音楽として長く記憶にとどめられることでしょう。若いオルダーやハイマスの歌は聴き応えがありますし、合唱も例によってキメ細やかで美しいハーモニーが素晴らしく、ドラマティックに仕上がっています。 
 
 
ジョン・ネルソン指揮、アンブロジアン・オペラ合唱団/イギリス室内管弦楽団、バトル(S)ホーン(MS)ラミー(Br)他
 
オールスターキャストを揃えて盤石の布陣で録音に臨んだのがネルソン盤。とにかく贅沢なキャスティングには溜め息が出ます…。キャスリーン・バトルのセメレ、ジョン・アラーのジュピター、マリリン・ホーンのジューノ、シルビア・マクネアーのイリスなど…考えられるベストメンバーで組んだのではないかと思えるほどです!特に役柄をそのまま生き写しにしたようで見事なのがヒロインのセメレを演じたキャスリーン・バトルですね。天性の美声と自由自在なピアニッシモとフォルテッシモの表現、それに圧倒的な音域の幅の広さに惚れ惚れしてしまいます。マリリン・ホーン扮するジューノの老練かつ巧みな歌唱もお見事です。アラーのジュピターも安定感抜群の声で魅了してくれます。ただ残念なのはネルソンのタクトに少々柔軟性が足らないところ……。もちろんキャスティングがあまりにも素晴らしいので、それに比べてちょっとかな…ということになりますが。幕間のシンフォニアや流れのスムーズさなどもっともっと融通無碍でも良かったのではと感じます。そのあたりがおさえられていたらどんなに素晴らしい名演になっただろうかと思えて……、それだけが残念ですね。