室内楽の名曲を聴こう _ ブラームス

ブラームス(Johannes Brahms, 1833 - 1897)

https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16830373

 

クラシック音楽の作曲家の主要作品とその評価
クラシック音楽 一口感想メモ
https://classic.wiki.fc2.com/

クラシック音楽の感想メモを書いています。
主要作曲家の主要な器楽曲全ての感想を書くことを目標にしています!

 

ブラームスの室内楽曲の評価

https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9

 

室内楽曲

六重奏曲

  • 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18
    • 4.0点
重厚だが柔らかくて温かみがある。弦の多くて声部の制約なく自由に書いている。響きがブラームスに合っているし、声部の豊かさが叙情となって美しさを出している。特に一楽章はかなりの名作。三楽章以降はややレベルが落ちて普通の音楽になる。

 

  • 弦楽六重奏曲第2番ト長調作品36
    • 4.0点
瑞々しくて甘くて美しい叙情に溢れる魅力作。交響楽団のような音の厚みや豊かさと、室内楽の要素を併せ持ち、両方の良さを兼ね備えている。一楽章の湖のほとりのような美しさは印象的。それ以外の楽章も同じくらい充実してる。三楽章は泣ける。甘い思い出を振り返ったり、優しい気持ちを思い出すような感情の曲。

 

五重奏曲

  • 弦楽五重奏曲第1番ヘ長調作品88
    • 3.0点
響きの豊かさ、対旋律の豊富さ、ニュアンスの精妙さなど耳を楽しませる曲としての充実感は素晴らしいのだが、メロディーなど心に響く感じがあまりない。

 

  • 弦楽五重奏曲第2番ト長調作品111
    • 3.5点
音楽的な充実感が半端ない。五本の弦楽器を縦横に活用して、聴いていて楽しく耳を楽しませる熟練の技を楽しむ事が出来る。

 

  • ピアノ五重奏曲ヘ短調作品34
    • 3.0点
ある意味で中期までのブラームスらしさが最も典型的に詰まった曲だろう。重厚さ、情熱、憧れや諦めなどの感情、暗さなど。どちらかといえば若書きで練達の技術とまでいかず、分かりやすい魅力的な部分も少ない。人気曲で熱心なファンも高く評価する曲だが、正直個人的にはブラームスの室内楽のなかで上位とは思わない。

 

  • クラリネット五重奏曲ロ短調作品115
    • 5.5点
クラリネットの哀愁漂う音色と諦念に満ちた曲想を存分に楽しめる晩年の大傑作。最終楽章の変奏曲が多少平凡な気がするが、1から3楽章までは全てにおいて文句なし。ブラームスの代表作のひとつであるとともに、ロマン派の室内楽の最高傑作だろう。1楽章のイントロからインパクトがすごい。2楽章は特に、両端部分の旋律の絶妙さといい、名人芸的な中間部の魅力といい、圧倒的に優れている。

 

四重奏曲

  • 弦楽四重奏曲第1番ハ短調作品51-1
    • 2.5点
このようなブラームスの弦楽の室内楽らしい緊密なアンサンブルが生み出す音の分厚さで押していく曲想の場合、四重奏だと音が足りなくて欲求不満になる。曲としてもブラームスらしいというだけで強く耳を引く部分は特にないと思う。

 

  • 弦楽四重奏曲第2番イ短調作品51-2
    • 3.5点
1番と違い柔らかくてロマン派の情緒たっぷり。音の薄さが気にならない。1,2楽章の哀愁が良くてその余韻のまま最後まで聞かせる。

 

  • 弦楽四重奏曲第3番変ロ長調作品67
    • 3.5点
四声部に適合して弦楽四重奏らしい曲を書く点や、曲の作り込みとロマン的情緒の表現において進歩してる感じがある。特に二楽章はロマンチックな良い曲。他の楽章も充実感があり秀逸。

 

  • ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25
    • 3.5点
1楽章は実験的で聴いて楽しい曲とは思わない。二楽章はなかなかよい。三楽章の憧れに満ちた曲はぐっと胸に迫る。ここが一番の楽章。四楽章のジプシー風を活用した情熱的な音楽も面白い。この楽章は特にアンサンブルが効果的で生で聴いてみたい。

 

  • ピアノ四重奏曲第2番イ長調作品26
    • 3.0点
明るく朗らかで柔らかい響きが支配的で、心地よく聞ける曲である。一楽章のリズムなと分かりやすく耳を楽しませる場面は多い。ただ曲が長いしやや底が浅い感じもあり、ブラームスらしいコクがない。

 

  • ピアノ四重奏曲第3番ハ短調作品60
    • 3.5点
緊密で緊張感や悲劇的な雰囲気のある曲。無駄が少なく完成度は高い。その中で三楽章は耽美的な回想の雰囲気で心奪われる。

 

三重奏曲

  • ピアノ三重奏曲第1番ロ長調作品8
    • 3.5点
渋めの曲想で親しみやすくはないし、名作という程の楽章も無いが、どの楽章も内容は濃く充実してる。三重奏だが音は厚い。

 

  • ピアノ三重奏曲第2番ハ長調作品87
    • 2.5点
三楽章が多少いいかなという位。他の楽章は地味で、いい曲とまでいかないと思う。

 

  • ピアノ三重奏曲第3番ハ短調作品101
    • 3.0点
最終楽章の高揚感や、三楽章の変わった拍子での繊細さに魅力を感じた。前の二つの楽章もそれなりに魅力がある。

 

  • クラリネット三重奏曲イ短調作品114
    • 4.5点
ピアノが入っているので、五重奏にはない力強さがあり、一方でクラリネットソナタにはないアンサンブルの楽しさがある。諦観やほの暗い情熱など自分の気分を生々しく音楽にしたような感じ。ブラームスのクラリネット入りの曲の中では暗くて甘さが少なくて取っつきにくく、ずっと聞いていなかった。しかし、自分が歳をとってから聞き返したら、これは諦観の生々しさの魅力がクラリネット五重奏曲以上であり、本人同様に自分も三重奏曲の方が好きになった。ソナタの二重奏に1本のチェロが入っただけで、音の響きが立体的になり、それが全編にわたって大きな価値を生んでいる。

 

  • ホルン三重奏曲変ホ長調作品40
    • 3.0点
この曲を聴いてホルンとは哀愁ただよう渋さを持つ楽器だとイメージが変わったのは自分だけだろうか?最終楽章だけやたら明快で、それ以外は渋い内容。

 

二重奏曲

  • ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調作品78
    • 4.5点
柔らかくて穏やかなヴァイオリンが十分に歌うのを存分に楽しめる。あまり屈折していない爽やかさがベースにありながらも、複雑な大人の感情が取り込まれた音楽。ブラームスの重厚さが二重奏の場合は気にならず、カジュアルに楽しめる作品になっているのがおそらくヴァイオリン曲の最大の聞きやすさと成功の要因になっていると思う。3つの楽章が全て歌心に溢れており旋律の魅力が大きい。やや長いのでゆったりと心を曲の流れに浸して聴くことができる。

 

  • ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調作品100
    • 3.5点
明るくたくましい音楽。ヴァイオリンを豊かに力強く響かせる。あまり底が深い感じは無いが、その分気楽に聴ける。

 

  • ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調作品108
    • 4.0点
どの楽章も非常にメロディーがわかりやすく、感情移入しやすい曲。晩年らしい晦渋さは音楽的な重みとなって旋律が魅力的で、凝縮された音楽の力に圧倒される。

 

  • チェロ・ソナタ第1番ホ短調作品38
    • 3.5点
チェロの音色の甘さの活用は程々にして、渋い情熱的要素を重視しているのが心地よい。低音域の活用が上手い。ブラームス得意の耳をつくヴァイオリンの泣きの高音域が無いのが心地よくて好きだ。

 

  • チェロ・ソナタ第2番ヘ長調作品99
    • 2.5点
力強いし渋くて内容は充実しているのだが、楽想やメロディーが全体的に凡庸なのであまり楽しめない。

 

  • クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調作品120-1
    • 4.0点
両端楽章がやや渋くて取っつきにくいが、中間の二つの楽章は孤独さや人生の回想を感じさせる魅力的な音楽。ヴァイオリンソナタと並んで、二重奏曲のソナタはブラームスは大変な名手だと感じる。よく手の込んだ工夫が凝らされた音楽でもあるように聞こえる名作である。

 

  • クラリネット・ソナタ第2番変ホ長調作品120-2
    • 4.0点
1楽章の甘美な回想の音楽はかなり魅力的。二楽章も甘くて強い回想。三楽章はいつもより控えめで雰囲気を壊さず終わる。クラリネットの甘さを生かし、すてきな歌心に溢れた名作。
 
▲△▽▼
▲△▽▼
 

ブラームス『クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115』


Lener Quartet & Charles Draper - Brahms : Clarinet Quintet Op.115 (1928)


 



 

transferred from Jpn Columbia 78s /J-7600/02(AX-4258/60, 4289/91) 再復刻


Charles Draper, clarinet
Léner String Quartet:
Jenö Léner & Joszef Smilovits, violins
Sándor Roth, viola
Imre Hartmann, cello


Recorded: 7 & 10 XI 1928

 

 

ケル 、ブッシュ弦楽四重奏団

Busch Quartet & Reginald Kell - Brahms : Clarinet Quintet Op.115 (1937)
https://www.youtube.com/watch?v=gwIPOjolc_A
https://www.youtube.com/watch?v=pqcd7niB_bs
https://www.youtube.com/watch?v=Jg1BOQ8e3RY
https://www.youtube.com/watch?v=_PbsVeHHC6k

https://www.youtube.com/watch?v=h2NCTGUyehk
https://www.youtube.com/watch?v=X2BIMUHCKps
https://www.youtube.com/watch?v=PNdS-eQTiSI
https://www.youtube.com/watch?v=8KUARgwnXvg

Violin: Adolf Bush
Violin: Gösta Andreasson
Cello: Hermann Busch
Viola: Karl Doktor
Clarinet: Reginald Kell

recorded 10 November, 1937



KELL, BUSCH QUARTET Brahms Clarinet Quintet (1948) - Pristine PACM117
https://www.youtube.com/watch?v=QnDjbisYdoM&t=9s
https://www.youtube.com/watch?v=QnDjbisYdoM&list=RDQnDjbisYdoM&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=cSrQa-ImQoo

Reginald Kell (clarinet)
Busch Quartet:
Adolf Busch, Bruno Straumann (violin)
Hugo Gottesmann (viola)
Herman Busch (violoncello)
rec. Town Hall, New York City 19 December 1948

 

 

ウラッハ
Brahms: Clarinet Quintet, Wlach & Vienna Konzerthaus Quartet












Leopold Wlach (1902-1956), Clarinet
Vienna Konzerthaus Quartet (Wiener Konzerthaus streicherquartett)
 Anton Kamper, 1st Violin
 Karl Maria Titze, 2nd Violin
 Erich Weiss, Viola
 Franz Kwarda, Cello

ca.1950 Vienna

 

 

ブラームス:クラリネット五重奏曲 ルジーハ、スメタナ四重奏団

https://www.youtube.com/watch?v=BfwO46wcWwE&list=PLHJSSXkuMYN4qSNN2Ld0mpSfxsycDHPaZ&index=6

https://www.youtube.com/watch?v=_bpPtmh6Eew&list=PLHJSSXkuMYN4qSNN2Ld0mpSfxsycDHPaZ&index=7

https://www.youtube.com/watch?v=JYpSp_CF_Yw&list=PLHJSSXkuMYN4qSNN2Ld0mpSfxsycDHPaZ&index=8

https://www.youtube.com/watch?v=Vmv6l2-QUkk&list=PLHJSSXkuMYN4qSNN2Ld0mpSfxsycDHPaZ&index=9

 

Smetanovo kvarteto

Vladimír Říha

℗ 1965 SUPRAPHON a.s.

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『クラリネット三重奏曲 イ短調 作品114』

 

ウラッハ
Brahms: Clarinet Trio, Wlach & Kwarda & Holetschek (1952)




Leopold Wlach (1902-1956), Clarinet
Franz Kwarda (1904-1971), Cello (Kvarda)
Franz Holetschek (1911-1990), Piano


Rec. 1952 [Westminster]

 

 

ドレーパー
Brahms Clarinet Trio (Draper, Squire, Harty, 1924)




Haydn Paul Draper, clarinet
William Henry Squire, cello
Hamilton Harty, piano

Recorded October 21, 1924, in Columbia's Petty France Studios, London, on 78-rpm matrices AX 692 through 697. Issued in Great Britain as Columbia L 1609 through L 1611 in February, 1925, and in the USA as 67101-D through 67103-D (Masterworks Set No. 19).

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『2つのクラリネットソナタ 作品120 第1番』


Brahms: Clarinet Sonata No. 1, Wlach & Demus (1953)


Leopold Wlach (1902-1956), Clarinet
Jörg Demus (1928-), Piano

Rec. 1953

 

キム・カシュカシャン

Kim Kashkashian   Brahms: Viola Sonata in F Minor, Op. 120 No. 1 - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=Xa_6oUx22G8

https://www.youtube.com/watch?v=SY_7GnLwO3A

https://www.youtube.com/watch?v=Q7jY69gF5mw

https://www.youtube.com/watch?v=QYuj0DKuVVk

 

▲△▽▼

 

ブラームス『2つのクラリネットソナタ 作品120 第2番』


Brahms: Clarinet Sonata No. 2, Wlach & Demus (1953)


Leopold Wlach (1902-1956), Clarinet
Jörg Demus (1928-), Piano

Rec. 1953

 

キム・カシュカシャン

Kim Kashkashian plays Brahms Viola Sonata No. 2 - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=eKsFz04XCos

https://www.youtube.com/watch?v=l284mO8bQEg

https://www.youtube.com/watch?v=j5jMbpC6oho

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

バリリ四重奏団・ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 ブラームス室内楽集

Brahms - Chamber Music, Barylli Quartet, Vienna Konzerthaus Quartet



Piano Quartet No.1 in G minor, Op.25
(00:00:00) 1. Allegro
(00:12:34) 2. Intermezzo(Allegro Ma Non Troppo)
(00:21:18) 3. Andante Con Moto
(00:30:54) 4. Rondo Alla Zingarese
Members of the Barylli Quartet
Jörg Demus, piano
rec. 1956

Piano Quartet No.2 in A, Op.26
(00:38:52) 1. Allegro Non Troppo
(00:53:07) 2. Poco Adagio
(01:05:57) 3. Scherzo(Poco Allegro)
(01:16:32) 4. Finale(Allegro)
Members of the Barylli Quartet
Jörg Demus, piano
rec. 1956

Piano Quartet No.3 in C minor, Op.60
(01:25:41) 1. Allegro Ma Non Troppo
(01:35:34) 2. Scherzo(Allegro)
(01:39:47) 3. Andante
(01:49:03) 4. Finale(Allegro)
Members of the Barylli Quartet
Jörg Demus, piano
rec. 1956

Piano Quintet in F minor, Op.34
(01:59:38) 1. Allegro non troppo
(02:10:41) 2. Andante, un poco adagio
(02:21:30) 3. Scherzo- Allgro
(02:29:20) 4. Fianle - Poco sostenuto
Vienna Konzerthaus Quartet
Günter Weiss, 2nd cello
Jörg Demus, piano
rec. 1952

String Sextet No.1 in B flat, Op.18
(02:40:14) 1. Allegro ma non troppo
(02:54:40) 2. Andante ma moderato
(03:04:36) 3. Scherzo Allegro molto
(03:07:38) 4. Rondo Poco Allegretto e grazioso
Vienna Konzerthaus Quartet
Ferdinand Stangler, 2nd viola
Günter Weiss, 2nd cello
rec. 1951

String Sextet No.2 in G, Op.36
(03:18:05) 1. Allegro non troppo
(03:33:52) 2. Scherzo: Allegro non troppo - Presto giocoso
(03:41:51) 3. Adagio
(03:52:44) 4. Poco allegro
Vienna Konzerthaus Quartet
Wilhelm Hübner, 2nd viola
Günter Weiss, 2nd cello
rec. 1954

String Quintet No.1 in F, Op.88
(04:01:40) 1. Allegro non troppo ma con brio
(04:13:30) 2. Grave ed appassionato
(04:25:20) 3. Allegro energico
Vienna Konzerthaus Quartet
Ferdinand Stangler, 2nd viola
Günter Weiss, 2nd cello
rec. 1950

Horn Trio in E flat, Op.40
(04:31:01) 1. Andante
(04:38:18) 2. Scherzo
(04:45:17) 3. Adagio Mesto
(04:53:15) 4. Finale. Allegro Con Brio
Walter Barylli, violin
Franz Koch, horn
Franz Holeschek, piano
rec. 1952



Barylli Quartet
 Walter Barylli, 1st Violin
 Otto Strasser, 2nd Violin
 Rudolf Streng, Viola
 Emanuel Brabec, Cello

Vienna Konzerthaus Quartet (Wiener Konzerthaus streicherquartett)
 Anton Kamper, 1st Violin
 Karl Maria Titze, 2nd Violin
 Erich Weiss, Viola
 Franz Kwarda, Cello

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『ホルン三重奏曲 変ホ長調 Op.40』

 

アドルフ・ブッシュ  

 

Busch, Brain, Serkin - Brahms : Horn Trio Es-dur Op.40 (1933)
https://www.youtube.com/watch?v=XF_01gzKUC4&t=2s
https://www.youtube.com/watch?v=UfobgJLtGFQ
https://www.youtube.com/watch?v=Zt03Kn92Oho&t=21s
https://www.youtube.com/watch?v=LjgxHRsLTPU
https://www.youtube.com/watch?v=RAhkX5q1H_A

https://www.youtube.com/watch?v=1QVF_3jRHuA
https://www.youtube.com/watch?v=LvBvOxgWco8
https://www.youtube.com/watch?v=OUF6Oxk9AnA
https://www.youtube.com/watch?v=voH3AB0pevI

Aubrey Brain (1893-1955), Horn
Adolf Busch (1891-1952), Violin
Rudolf Serkin (1903-1991), Piano

Rec. 16 May & 13 November 1933, at Abbey Road Studios, in London

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『ピアノ五重奏曲ヘ短調 作品34』

ブッシュ弦楽四重奏団

Brahms, Piano Quintet in F minor op 34 a (Busch Quartet, Serkin) rec. 1938
https://www.youtube.com/watch?v=JOQGe7RCLgs
https://www.youtube.com/watch?v=uEe7punlI6s&t=14s
https://www.youtube.com/watch?v=uEe7punlI6s&list=RDuEe7punlI6s&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=shDOdEGZRmk&list=PLsIDIMCiBE7aYN5xtqcCshU3XOQw4-ZmO&index=5


Adolf Busch, 1st violin
Gösta Andreasson, 2nd violin
Karl Doktor, viola
Hermann Doktor, cello

Rudolf Serkin, piano

Recorded 13 October 1938

 

 

レナー弦楽四重奏団
Lener Quartet - Brahms : Piano Quintet f-moll op.34 (1927)









with Mrs. Olga Loeser-Lebert (Piano)
recorded March 4 1927, London Wigmore Hall
transfer from Jpn Columbia 78s / J-7253/4(AX-2473/5)

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『ピアノ三重奏曲第2番ハ長調 作品87』

 

シゲティ、カザルス

Piano Trio No. 2 in C Major, Op. 87
Joseph Szigeti, Pablo Casals, Dame Myra Hess
℗ 1952 - BNF Collection 2014




 

 

アドルフ・ブッシュ  

Busch Trio - Brahms : Piano Trio No.2 in C Op 87 (1951)
https://www.youtube.com/watch?v=8Wx5Wi1x5ts

https://www.youtube.com/watch?v=YlfRlz-Qalo
https://www.youtube.com/watch?v=z0W6af610B8
https://www.youtube.com/watch?v=CdsrbmZihwU
https://www.youtube.com/watch?v=T5kF7HoiZUk

Adolf Busch (Vn), Hermann Busch (Vc), Rudolf Serkin (Pf)
recorded October 1951

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『ピアノ四重奏曲第1番ト短調 作品25』

 

 アドルフ・ブッシュ  

Piano Quartet NO.1 in G Minor, Op. 25
https://www.youtube.com/watch?v=Mcu-6nIw0gg
https://www.youtube.com/watch?v=ob66nlkV0Rw&t=19s

https://www.youtube.com/watch?v=lKi5FL53zcY
https://www.youtube.com/watch?v=CBTvcN-9evk
https://www.youtube.com/watch?v=3KIXy3sTm2g
https://www.youtube.com/watch?v=h2RMQzO2MWE

Recorded 25 & 26 May, 1949

Rudolf Serkin piano
Adolf Busch violin
Hugo Gottesmann viola
Hermann Busch cello

 

▲△▽▼

 

ブラームス『ピアノ四重奏曲第2番イ長調 作品26』

 

アドルフ・ブッシュ  

Brahms Piano Quartet No.2 in A major, Op.26(Serkin,Busch 1932)
https://www.youtube.com/watch?v=2M8EimEyYf0
https://www.youtube.com/watch?v=-2daCv2Gd70&t=9s

https://www.youtube.com/watch?v=bOn9eQaiL9c
https://www.youtube.com/watch?v=r6sP_NHW7Do
https://www.youtube.com/watch?v=zyDuTDV3QPA
https://www.youtube.com/watch?v=lNgoqS4FN44

https://www.youtube.com/watch?v=cwWF-waQqJM
https://www.youtube.com/watch?v=1vt4MTApG_0
https://www.youtube.com/watch?v=biVsimkhF3U
https://www.youtube.com/watch?v=iXrfPD8Bcis

Rudolf Serkin(Piano)
Adolf Busch(1st Violin)
Karl Doktor(Viola)
Hermann Busch(Cello)

Studio recording, London, 21.IX.1932

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『弦楽四重奏曲第1番ハ短調 作品51-1』

 

ブッシュ 弦楽四重奏団 

Brahms String Quartet No.1 in C Minor, Op.51-1(Busch String Quartet1933)
https://www.youtube.com/watch?v=IIMu9ZwLj3M
https://www.youtube.com/watch?v=1bMXVVhXGi8
https://www.youtube.com/watch?v=-r_BQPw5MX4&t=9s

https://www.youtube.com/watch?v=11iM5AM9ZVc
https://www.youtube.com/watch?v=ECYzR3jLlJ4
https://www.youtube.com/watch?v=fwA7tDBdoGw
https://www.youtube.com/watch?v=tqBV6We-9Co

https://www.youtube.com/watch?v=UE3MzrJ9YDQ
https://www.youtube.com/watch?v=cdTj9TjVSy8
https://www.youtube.com/watch?v=lzus_oEXKkg
https://www.youtube.com/watch?v=da3Bp8RwZUQ

https://www.youtube.com/watch?v=29_XP9PwUc8
https://www.youtube.com/watch?v=X8HAJRhVj8Y
https://www.youtube.com/watch?v=JNG0FlVdh5k
https://www.youtube.com/watch?v=Lkjq9Gb952k

The Busch String Quartet
 Adolf Busch(1st Violin)
 Gösta Andreasson(2st Violin)
 Karl Doktor(Viola)
 Hermann Busch(Cello)

recorded 19,23 September 1932



Brahms String Quartet No. 1 in C minor, Op.51/1 ( busch quartet )
https://www.youtube.com/watch?v=0ZQvjdKrGyo

( Live recording. Jan 25, 1951 )
*. Source : serenade cd-r
*. Busch Quartet
a. busch (v.)
b. straumann (v.)
h. gottesmann (va.)
h. busch (c.)

 

▲△▽▼

 

ブラームス『弦楽四重奏曲第2番イ短調 作品51-2』

 

 ブッシュ 弦楽四重奏団 

Brahms String Quartet No.2 in A Minor, Op.51-2(Busch String Quartet1947)
https://www.youtube.com/watch?v=ZISBEHevtO0
https://www.youtube.com/watch?v=EcdjIlAyOUM&t=22s


https://www.youtube.com/watch?v=rMTMVa-NEr4
https://www.youtube.com/watch?v=srOMIWhhr_w
https://www.youtube.com/watch?v=v-Q78sZ1rAk
https://www.youtube.com/watch?v=fN5NovnW8o4

https://www.youtube.com/watch?v=p2qoRLmdd1A
https://www.youtube.com/watch?v=_bUl_qSF0uc
https://www.youtube.com/watch?v=rUjpq_76jCw
https://www.youtube.com/watch?v=is1Qw59vx8Y

Ensemble: Busch Quartet
Artist: Adolf Busch
Artist: Ernest Drucker
Artist: Hugo Gottesmann
Artist: Hermann Busch

Date: 1947-06-19

 

 

レナー弦楽四重奏団
Lener Quartet - Brahms : String Quartet No.2 in A minor Op.52 -2 (1931)



recorded 11,13 August 1931
transferred from U.K.Columbia 78s / LX-163/6 (CAX-6187/90. 6192/95)

 

▲△▽▼

 

ブラームス『弦楽四重奏曲第3番変ロ長調 作品67』

 

ブッシュ 弦楽四重奏団 

String Quartet NO. 3 in B-Flat Major, Op. 67
https://www.youtube.com/watch?v=TAqlWunHbw0

https://www.youtube.com/watch?v=iphehTmeAR4
https://www.youtube.com/watch?v=TiDwxCw5yi8
https://www.youtube.com/watch?v=hQTN9y_m2oU
https://www.youtube.com/watch?v=yz7o881PpkI

Adolf Busch, 1st Violin
Bruno Straumann, 2nd Violin
Hugo Gottesmann, Viola
Hermann Busch, Cello

recorded 22 May 1942





Brahms: String Quartet No. 3, BuschQ (1949) ブラームス 弦楽四重奏曲第3番 ブッシュ四重奏団
https://www.youtube.com/watch?v=95nzXjEdtpY

Busch Quartet
 Adolf Georg Wilhelm Busch (1891-1952), 1st Violin
 Ernest Drucker (1909-1993), 2nd Violin
 Hugo Gottesmann (1896-1970), Viola
 Hermann Busch (1897-1975), Cello

Rec. 17, 21 May 1949

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『弦楽五重奏曲第1番ヘ長調 作品88』

 

ブタペスト弦楽四重奏団 
Brahms Quintet No. 1 In F Major Budapest String Quartet (1958) LP



Cello – Mischa Schneider
Viola – Walter Trampler
Viola – Boris Kroyt
Violin – Alexander Schneider, Joseph Roisman

 


Brahms, String quintet no. 1 in F major, op. 88 (Budapest Quartet/Hobday/1937)


Budapest String Quartet (Josef Roisman, violin; Alexander Schneider, violin; Boris Kroyt, viola; Mischa Schneider, cello); Alfred Hobday, viola II
Recorded 8 February 1937

 

▲△▽▼

 

ブラームス『弦楽五重奏曲第2番ト長調 作品111』


Brahms Quintet No. 2 In G Major Budapest String Quartet (1958) LP


Cello – Mischa Schneider
Viola – Walter Trampler
Viola – Boris Kroyt
Violin – Alexander Schneider, Joseph Roisman

 


Brahms, String quintet no. 2 in G major, op. 111 (Budapest Quartet/Mahlke/1932)

 



J. Roismann - A. Schneider - I. Ipolyi - M. Schneider
2nd Viola ; Hans Mahiketransferred from JPN Victor 78s / JH-1-3(2D-1271/3, 1280/2)Recorded 15, 17, and 18 November 1932

 

▲△▽▼

▲△▽▼

 

ブラームス『弦楽六重奏曲第1番変ロ長調 作品18』

 

カザルス

Pablo Casals Prades-1952
Brahms: Sextet No. 1 in B-flat major - 2. Andante ma moderato


Pablo Casals Prades-1952
Brahms-Sextet for Strings No. 1 in B flat Major Op. 18 (Complete)


Artist: Ernst Wallfisch
Artist: Karen Tuttle
Artist: Madeline Foley
Artist: Pablo Casals
Artist: Yehudi Menuhin
Artist: Árpád Gérecz


Prades-1952

 

 

ブッシュ 弦楽四重奏団 

Brahms Sextet No 1 - Busch chamber players
https://www.youtube.com/watch?v=nibckB_Pwjk
https://www.youtube.com/watch?v=3-B78GfGwxQ
https://www.youtube.com/watch?v=ZYxvw_Ni7zE
https://www.youtube.com/watch?v=zN15eh0RtZM


https://www.youtube.com/watch?v=kCEec93-fFs&list=OLAK5uy_nKPI0s0_CiTKnCHrKI2TdztrXIXGRdkrc&index=4
https://www.youtube.com/watch?v=feMS-6KNhVs&list=OLAK5uy_nKPI0s0_CiTKnCHrKI2TdztrXIXGRdkrc&index=5
https://www.youtube.com/watch?v=7QCGlZuP1DI&list=OLAK5uy_nKPI0s0_CiTKnCHrKI2TdztrXIXGRdkrc&index=6
https://www.youtube.com/watch?v=g6xfWZB6Eyg&list=OLAK5uy_nKPI0s0_CiTKnCHrKI2TdztrXIXGRdkrc&index=7

Busch Quartet with Albert Bertschmann (viola) & August Wenzinger (cello).
Live recording 1949 (at Strasbourg, France)

 

▲△▽▼
▲△▽▼
 

ついこの前出たポリフォーン「総特集・武満 徹」の中に、ブラームスのクラリネット・ソナタの譜面を見てピアノで弾いてみた武満が

「こんないい音楽があったら、もう他に音楽はいらないんじゃないかというような、譜面を全部見終わったときに、自分が感じた印象というのは、完璧だ、ということでした」

と講演でしゃべった速記が載っていました。さらにシンポジウムで秋山邦晴がその「ブラームス発言」に現代作曲家としては安易な発言だという疑義が発せられてそれに答える形で、詳しくは原文を当たって頂くとしていくつかの弁明をされたあと、

 ・・あの人が書いた旋律などを見ていると、今までなんとなく聴き流してし  まっていたけれど、その音をよく確かめてみると、そんなに単純な甘ったるい旋律というようなもんじゃないんですね。そこには確固たる、知的な構造がある。僕なんかがいちばん持ってないものを持っている。

と述べ、ソナタ1番アンダンテ冒頭のE♭とD♭が曲全体の構造に深く密接に関わってる点とリズムのセルがわずか4小節のなかで2小節ずつ生と死とも言える極端な対比を作っていることでその構造の卓抜さの説明をしました。

こんなブラームス解説はいままで読んだことはなく、もっと第1線の作曲家の方々に名曲解説をして頂き愛好家の蒙を啓いてもらいたいと思わせるとともに、1番の当方の印象もまんざらまちがっていなかったのがわかり、腑におちた、という気分になりました。

 しかしあのアンダンテの冒頭に生と死の対比を嗅ぎつけるこの武満の感性の鋭さにはとてもついて行けないものがあります。ブラームスの深い知性、芸の細かさにあらためて目を開かされました。
http://homepage3.nifty.com/fm-classic-live/023K.html

 


その美術館で、私は3冊ほど本を買い求めました。その中の1冊に、

『カメラの前のモノローグ 埴谷雄高・猪熊弦一郎・武満徹』(マリオ・A 著/集英社新書)
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%81%AE%E5%89%8D%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0-%E5%9F%B4%E8%B0%B7%E9%9B%84%E9%AB%98%E3%83%BB%E7%8C%AA%E7%86%8A%E5%BC%A6%E4%B8%80%E9%83%8E%E3%83%BB%E6%AD%A6%E6%BA%80%E5%BE%B9-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BBA/dp/4087200310

があります。これは外国人写真家がこの3人に試みたロング・インタビュー集です。

 そして武満徹さんはこんなことを言っていました。
このインタビューは’92年9月に行われていますから、武満さんが亡くなる’96年の約3年半くらい前ということになります。

 「最近、ブラームスに夢中になっちゃってて、皆に笑われてますけれども。
今頃、ブラームスがいい、って言うのか、って言われて。」

 「なんていうんだろう、あれだけの音楽としての骨格というか、構築力っていうの、作り上げる力、論理っていうのかな、とてもわれわれにはないもんだし。
それは、もしかしたらなくてもしょうがないことなんだけど。

でも今頃になって、僕はベートーヴェンとかバッハとかブラームスとか、そういう人たちの音楽の力っていうか、芸術としての力、決して古くなくって・・・それこそ、ブラームスは同時代人だ(笑)、とつくづくとそう思っていますね。」

 それを読んだ私は、私の周りがぱあっと明るく開けたような気持ちになりました。これは別にとても有名な人が言っていることを引用して、自分がやっていることを偉そうに正当化する気になったなどという愚鈍な話ではありません。私はこの言葉からとても勇気をもらった気がしたのです。自分は間違ったことはしていなかったのかもしれない、というほのかな希望のようなものを感じたのです。

 実は、練習を積んでいくうちに、私はこのブラームスの曲がとても好きになっていました。この「ピアノ三重奏曲 第一番」は1854年、ブラームスがなんと21歳の若さで作曲しています。その後、亡くなる6年前にあたる1891年、58歳の時に改訂され、現在ではこの改訂されたものが演奏されることがほとんどになっています。

 私が持っている譜面にはその両方が掲載されていますが、時をへだてて改訂されたものは、最初のものよりぐんと複雑で、大きな曲になっています。37年の間にコンチェルト、交響曲など数多くの作品を書いてきたブラームスの筆の力が集積されているようにも思われます。

 だからでしょうか、例えばここはピッコロが聞こえてくるとか、弦楽器が束になって響いているところだとか、金管楽器が高らかに歌っているところだとか、ピアノを弾きながら、私にはそんな風に感じられるところがたくさんあります。そしてつくづくピアノはオーケストラのようだと思わずにはいられませんでした。

 また、ブラームスは20歳の時に、リストやロベルト&クララ・シューマン夫妻に出会っています。そしてその年にシューマンは論説「新しい道」を書いて、ブラームスを新世界の巨匠として世の中に紹介しています。その翌年、シューマンはライン川に身を投じて一命はとりとめたものの精神病院に送り込まれますが、この頃からブラームスのクララ・シューマンへの想いは恋の情熱へと高まっていきます。

 そんなことを思い浮かべると、この曲の各楽章の流れ、全体を通して見た時の流れは、なんだかもう溢れ出るロマンティシズムと、期待、不安、喜び、失望などが交錯する色彩をにわかにおびてくるように感じます。揺れ動いている気持ちがそのまま音になっているような気さえしてきます。

そしてその時の自分自身を、37年後のブラームスが力強い筆で再構築している姿が見えてきます。作品全体を通した曲の流れ、揺るがない骨組み・構造力の強さ。メロディーの美しさ。ヴァイオリン、チェロ、ピアノの拍がずれながら屹立し、交錯する緊張感。ここのところでグッときちゃうのよと感じざるを得ないような持っていき方など、感嘆するところがたくさんあります。

それは細かく譜面をなめるように見ていけば見ていくほど感じたことでもあります。そういう意味では、私はまだ満足に弾けない箇所を残しながらも、音を拾う作業から、やっと少しずつ本当の譜読みの段階に入っていたのだと思います。なんとかここまできたぞ~。って、遅過ぎる、か。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kkyoko/tsukimiso/brahms.html

 

▲△▽▼

 

「武満徹 音楽創造への旅」を読んで
                     

とても分厚い本で(2016年2月刊)、頁の方も上下二段に分かれて細かい字がいっぱい詰まっており、つい読書意欲が萎えてしまうが、いざ読み始めてみるとこれがとても面白くて興味深い内容。

読み進むにつれて段々と武満氏の天賦の才が露わになってくるように感じてきて思わず慄きを覚えてしまった。この人は稀に見る天才だ!


名前だけはよく聞くものの、武満氏(1996年没)の音楽はまだ聴いたことがないので、ここはひとつ腰を据えて聴かねばなるまいという気にさせられた。

もっとも映画音楽の方はそうとう作曲しているようで、たとえば黒沢明監督の代表作「七人の侍」の音楽担当は周知のとおり「早坂文雄」氏だが、仲良しだった武満氏も参画しており木村功と津島恵子の絡みのシーンなどを部分的に担当しているそうだし、石原裕次郎の最初の主演作「狂った果実」の音楽も担当しているというので二度ビックリ。

クラシック音楽との関連では、メシアン、ウェーベルンなどの近代の作曲家の影響を多大に受けており、いわゆる古典ロマン派の音楽家たちとは無縁のようだが珍しくブラームスとモーツァルトの音楽に言及する箇所があったので紹介してみよう。


☆ ブラームスの「クラリネット・ソナタ」(604頁)

「最近ブラームスの音楽に急に目覚めましてこの人は凄いと思うようになった。~中略~。

晩年の室内楽、たとえば作品120のクラリネット・ソナタなんか聴くと旋律一つの中に本当に大きな世界がある。人生そのものがそこにあるという感じになってくるんです。実に見事な構造をしています。

真ん中のゆっくりした楽章にアダージョですけど非常に長い旋律がある。その最初の二小節と次の二小節が完全なコントラストになっている。

はじめの二小節はこうで(口ずさむ)、次の二小節はこうなんです(口ずさむ)。初めの方は生命感に満ち溢れているのにあとのほうは明らかに死を思わせる。

ひとつの旋律の中に生と死が見事に構造化されている。生の後ろにいつも死があるのが見える。生と死の二つが弁証法的にからんでいって、最後の方になってくると、生も死もない途方もないところに突き抜けるんですね。生死を超越した宗教的といってもいいような非常に高いところに抜け出ている。

素晴らしい音楽です。ある意味では実に単純な構造だけど、同時に実に複雑でもある。聴いていてすごく心が励まされる曲です。やはり音楽はここまでいかなきゃダメなんじゃないかと思いました。」


☆ モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 K.364」(741頁)

「最近生まれてはじめてモーツァルトのヴァイオリン・・・を聴いてビックリしました。素晴らしいですね。典型的なあの時代の様式の曲だけど時代の古さなんてまったく感じさせない。新鮮でした。ちょっとショックを受けました。

長い間音楽をやってきて自分ではオーケストラのことがかなり分かったつもりになっていて“オレのオーケストレーションもなかなかうまくなったな”なんて思いはじめていたんだけど、とんでもない。あれを聴いたら、自分はまだまだオーケストレーションが何もわかっていなかったじゃないかと思って2、3日ショックでした。~中略~

モーツァルトの音楽は表面的な外観とかロジックではとらえきれないものを持っている。ブラームスなんかにしてもそうですが、ああいう人たちは長い音楽生活の中で濾過されて出来上がった直感力というか西洋音楽の伝統に鍛え抜かれた信じられないような直感力を持っていて、それでもってああいう美しいフォームを作れるんですね。ただ一本の旋律だけ見ても実に単純にして、しかし同時に複雑な内容をもった見事に美しい曲を書いてます。

モーツァルトというのは音楽が頭から流れるままにスラスラ書いて作曲の苦労なんかまるでなかったみたいにいう人がいるけど、この間、モーツァルト学者の海老沢敏さんにちょっと話を聞いたら、そうじゃなくて非常に緻密にスケッチをとったりしているというんですね。やっぱり単純なものの背景に鍛え抜かれたものがあるんですね。」
http://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/0c544a7135c52c1b154be5de51f1dc83


武満徹・音楽創造への旅 – 2016/2/20 立花 隆 (著)
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%A6%E6%BA%80%E5%BE%B9%E3%83%BB%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E5%89%B5%E9%80%A0%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%97%85-%E7%AB%8B%E8%8A%B1-%E9%9A%86/dp/4163904093

 

武満 徹『弦楽のためのレクイエム 』 - 777ブログ

https://a111111.hatenablog.com/entry/2025/05/27/210041