ヴァイオリン・チェロの名曲を聴こう _ ギヨーム・ルクー 『ヴァイオリン・ソナタ』

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モーツァルトは文部省唱歌と同じ様に懐メロとして聴かれている
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ギヨーム・ルクー Guillaume Lekeu(ベルギー ヴェルヴィエの近く 1870 - 1894)
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クラシック音楽の作曲家の主要作品とその評価
クラシック音楽 一口感想メモ
https://classic.wiki.fc2.com/

クラシック音楽の感想メモを書いています。
主要作曲家の主要な器楽曲全ての感想を書くことを目標にしています!

 

ギヨーム・ルクー の『ヴァイオリン・ソナタ』の評価

https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%281889%E5%B9%B4%E3%81%BE%E3%81%A7%29

 

非常に早世してしまった作曲家。
  • ヴァイオリンソナタ
    • 3.0点
ロマン派のヴァイオリンソナタとして著名だが、自分にはよく分からない。大きく影響を受けているフランクの音楽のわかりにくさと非常に似通っている。じわじわとした情熱とか、艶かしい根源的な生気が表現されていて、何か感じるものはある。しかしながら、はっきりせずどう感じれば良いのかよく分からないと思う場面が多い。よく聞けば色々な場面があるのだが、繋がりの問題なのか、循環構成のせいか、それがはっきりとした場面の展開としての聞き手の気持ちの切り替えが、自分にはうまくいかない。モヤモヤしたまま音楽が進んでいく。またヴァイオリンの楽器の使い方が何か一面的に感じられて、さまざまな楽器の機能性と器の大きさを十分に発揮できていないように聞こえる。それなりの存在感のある曲であると言うのも分かるのだが、どうしても自分には苦手感が拭えない。
 
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上記の『クラシック音楽 一口感想メモ』さんの評価が正しいと思いますが。世の中には狂信的なルクーのファンが沢山いるのですね:
 

ルクー ヴァイオリン・ソナタ ト長調:天才の秘曲

https://bokunoongaku.com/2010/09/11/%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%80%80%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF-%E3%83%88%E9%95%B7%E8%AA%BF%EF%BC%9A%E5%A4%A9%E6%89%8D%E3%81%AE%E7%A7%98/

 

1870年に生まれ、1894年にわずか24才という若さでこの世を去った、ベルギーの天才作曲家ギョーム・ルクーの、最も有名な作品と言える。
彼はベートーヴェンやワーグナーの音楽と出会い、その魅力に心奪われ、作曲を目指したという。
いつもベートーヴェンの弦楽四重奏のスコアを持ち歩いていたとか、バイロイトで「トリスタンとイゾルデ」を聴いた際失神して担架で運ばれたとか、その傾倒ぶりを示すエピソードが語り継がれている。
その才能を見出したヴァランという和声の教師が、フランクの下へ彼を送り、フランクも懇意にしたそうだ。
フランク亡きあとは、弟子のダンディをして「彼はほとんど天才」と言わしめ、デュカスにもまた「年長の作曲家たちが羨まねばならないほど素晴らしい円熟味の持ち主」と讃えられるなど、まさに早熟の天才だったのだ。
ルクーは1891年、ローマ大賞に応募するが、次席という結果に満足せず受賞を辞退。しかしそのとき、ベルギーの大ヴァイオリニストであるイザイが彼の作品を聴いて感銘を受け、ルクーにヴァイオリン・ソナタを依頼する。
同郷の名手との出会いは、ルクーの名を後代まで残すこととなるこの名曲を生み出す契機となった。
1892年、死の2年前だが、早すぎる彼の晩年の作品であるこのヴァイオリン・ソナタが完成する。初演はイザイ夫妻によって行われた。


この曲を初めて聴いたときは正直びっくりした。こんなに素晴らしい曲を作った人がこんなに知られていないなんて、と。
特に1楽章の冒頭から、その感動は一瞬にしてやってくる。曲が始まったその瞬間から、ヴァイオリンは聴く者の心を不思議なオーラで包み込むのだ。
やさしい序奏、情熱的な主題、転調を繰り返しつつも、そのオーラは常に不変で、定まった世界観の中を漂流する。
2楽章はベルギーの民謡がモチーフになっている。息の長い旋律が、さらに世界の奥行きを拡げていく。
またしてもルクーらしい情熱的な旋律に帰する3楽章は、波打つようなピアノの上を力強く歌うヴァイオリンが非常に印象的だ。1楽章の序奏のテーマも現れ、特にコーダでは、まるでこの曲は1つの夢だったかのような、完結した世界の中を漂ってきた感覚だ。
1楽章の冒頭の感動と、3楽章で再現される感動は、この曲の絶頂と言って良いだろう。フランク直伝の循環形式が、ルクーのこの独特な香り立つ世界を最後まで保ち続けているのだ。
夭折したルクー、短い人生ではあったが、その才能の高さと、その知遇を得ることとなった多くの音楽家たちとの出会いが、この名曲を後世にまで伝えてきた。
フランク、ダンディ、イザイ・・・彼らがルクーを見出したことは、音楽史上の僥倖だったことは、論を待たない。
現代に生きる者として、ルクーの音楽そのものが、出会えて良かったと思えるものだ。
本当に良い音楽に出合った。こういう愉しみがあるから、クラシックから離れられないのだ。https://bokunoongaku.com/2010/09/11/%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%80%80%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF-%E3%83%88%E9%95%B7%E8%AA%BF%EF%BC%9A%E5%A4%A9%E6%89%8D%E3%81%AE%E7%A7%98/

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ルクー/ヴァイオリン・ソナタ(1892)

http://kisonoabaraya.qcweb.jp/lekeusonata.htm


まがりなりにも音楽史上に名を残している作曲家で、最も早死の人といえば
「スペインのモーツァルト」とも言われる

 ホアン・クリソストモ・アリアーガ Juan Crisostomo Ariaga(1806~1826) 享年20歳

だと思われますが、それに次ぐのがおそらくは、

 ギヨーム・ルクー Guillaume Lekeu(1870~1894) 享年24歳0か月

でしょう。
ちなみに、リリ・ブーランジェ Lili Boulanger(1893~1918) 享年24歳7か月 という女性作曲家もおられます。


ギヨーム・ルクーはベルギーに生まれ、フランスでフランクやダンディに師事、
目覚ましい才能で将来を嘱望されましたが、1894年、ピアノ四重奏曲を作曲半ばで腸チフスにかかって死亡しました。

わずか24歳で亡くなったわりに作品は多く、
ベルギーのリチェルカーレ・レーベルからリリースされた作品全集はCD8枚だか9枚だったと思います(廃盤)。 (2015年に再発されました!→ ココ!
ルクーについては以前こんな記事も書きました。

とにかくエネルギー燃えたぎる熱血青年だったようで、バイロイトで感動のあまり失神して運び出された事件は有名(というか恥ずかしいだろ)。

 「音楽に私の魂すべてを移しこむことに、とても苦心しています」

と述べたりもしてます。熱いぜ。

1891年には、カンタータ「アンドロメダ」でローマ賞第2位となるものの、本人は1位でないことが不満で

 「2位じゃダメなんです!!」

と言って、受賞を辞退しました。熱いぜ。

長生きしていれば、ドビュッシー、ラヴェルと肩を並べる大作曲家になっていたかも・・・・・・惜しまれます。


ヴァイオリン・ソナタ(1892)はルクーの代表作。
同郷ベルギーの名ヴァイオリニスト、イザイの依頼によって書かれました。
イザイはこの曲を携えて各地で演奏、大好評を博しました。

全3楽章、30分以上かかる大曲。
みずみずしい叙情、若々しい情熱、むせかえるようなロマンティシズム、美しいフレーズが次々溢れ出してくる名作です。

 

第1楽章 序奏を持つソナタ形式
冒頭に登場するやわらかでロマンティックなメロディは序奏であると同時にこの曲を統一する循環主題。
何度か繰り返され、変奏されるなかで、今後登場するほかの主題要素もほのめかされます。
3:13からピアノで奏でられるやや活気を帯びたメロディが第一主題、じつはこれ循環主題の転回形です。
3:25 すぐにつづいて活発な第二主題がやはりピアノで呈示されます。
3:43から第一主題がヴァイオリンで再呈示されます。4:05から短い経過主題があって、4:12から凛とした第二主題があらためて呈示されます。
4:36からピアノが第一主題を静かに奏でて呈示部を終わりに導きます。
5:00から展開部、まず経過主題が展開され、5:28から循環主題の変形が嬰ヘ短調でヴァイオリンに朗々と歌われます。
6:12から短調に変じた第一主題が登場、さらに緊張を高めてゆき、
6:57からピアノのリズミックな伴奏に乗ってヴァイオリンが循環主題の変形を奏で、さらに熱気をはらんだ展開がひとしきり続きます。
8:19にはピアノに第一主題、ヴァイオリンに循環主題が同時に登場し、ひとつのクライマックスとなります。
9:11 経過主題が出て9:30 第一主題が短調で再び登場します。
9:54 ピアノの循環主題に導かれてヴァイオリンが第一主題でそれに応えるところから再現部。
10:12 経過主題が再現、10:38 第二主題が超カッコよく再現します。
徐々に静まり第一主題を回想するうち、12:10あたりからヴァイオリンの低音に新しいメロディが登場、静かに閉じられます。

第2楽章 三部形式
ピアノに導かれてヴァイオリンが歌うメロディは循環主題の変形です。 やさしい旋律がいつ果てるともなく歌い紡がれます。
16:40から中間部、あたらしいメロディが登場しますが、第1楽章展開部で登場したリズミックな音型に似ています。
17:19 ピアノとヴァイオリンに第1楽章第一主題の変形があらわれます。
18:00、「飾り気なく、流行りうたのような情感をもって」と記された新しい主題がピアノに登場します。
余談ですがこのメロディを聴くと、なぜか私は映画「風の谷のナウシカ」を連想します。
18:31からヴァイオリンに登場する澄んだメロディは循環主題の変形。
ふたたび「ナウシカ主題」が抒情的に展開し、20:39から循環主題の変形が登場、やがて第1部の旋律が回帰します。
最後に第1楽章第一主題を短く回想して終わります。

第3楽章 序奏を持つソナタ形式
短く激しい序奏のあと、24:38から第一主題が呈示されます。
25:42から決然とした第二主題 25:58から柔らかな第三主題が提示され徐々に盛り上がりますが、
26:49 ピアノに第四主題が出たあと、静かになり抒情的な雰囲気となります。
28:01 循環主題が原形のまま登場するところから展開部。
29:09から第1楽章第一主題が登場、続いて第3楽章序奏主題が活発に展開されます。
30:31クライマックスでピアノに第3楽章第一主題が再現、ここから再現部となります。
第一主題はここでかなり長く展開され、31:15 第四主題が再現され、つづいて31:37 第二主題の再現、31:53 第三主題の再現と進みます。
そして、32:45から循環主題が回帰し、33:18には第1楽章第2主題がカッコよく歌われます。
33:52から全曲のコーダ、もういちど循環主題を全力で合奏して曲を閉じます。


 いやー、なんつうか・・・、詰め込みがすごい。
 情熱と希望と憧れをてんこ盛りにして若気の至りでコーティングしたような、くどくて暑苦しい代物ですが、
 22歳のルクーの溢れるエネルギー、眩しいばかりの才能に圧倒されます。


CDは数種類持っていますが、一番バランスが取れていて聴きやすいのが、

ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)/ジャック・ルヴィエ(ピアノ)(1987録音)。
ピアノがめちゃくちゃ上手くて、ピアノ主導型の演奏といえるかも。
もちろんヴァイオリンも艶とふくらみのある美しい音で受け答え、両者のインタープレイで広がりのある力強い音楽を作り上げます。
安心しておすすめできる名盤。

古典的名盤といえるのが
アルトゥール・グリュミオー(ヴァイオリン)/リカルド・カスタニョーネ(ピアノ)(1955録音)
ベルギー生まれのグリュミオーはこの曲を2回録音していてどちらも名演ですが、これはモノラルの旧盤。
カントロフ/ルヴィエ盤に比べると、張り詰めた緊張感が印象的な、テンション高い演奏。
当時まだあまり知られていなかった同国人の名曲を、広く知らしめようという意気込みが感じられます。
グリュミオーの洗練されたノーブルな音はここでも魅力的。
ピアノが少し後ろに下がったような感じなのは、録音バランスのせいでしょうか。

一般的にはそれほど評価の高い録音ではありませんが、個人的にお気に入りなのが
ローラ・ボベスコ(ヴァイオリン)/ジャック・ジャンティ(ピアノ)(1981年録音)。
ボベスコは1921年ルーマニア生まれで、ベルギーのイザイ・コンクールで優勝して以来、ベルギーを拠点に活動したヴァイオリニスト。
これは没入・熱演タイプのホットな演奏、とにかく曲への共感が半端ないです。
しなやかな音色、幅広いヴィブラート、気持ちのままに揺れ動くテンポ。
音楽とともに生き、呼吸し、曲と奏者がひとつになった見事なパフォーマンス。
たまにテクニックは完璧なのに妙に冷静で分析的な演奏というのがありますが、いわばその対極。
クライマックスで音が少しうわずったりもするのも、かえって感動!なのであります。

 第1楽章
 

(2012.10.8.)

http://kisonoabaraya.qcweb.jp/lekeusonata.htm

 

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ルクー ヴァイオリン・ソナタ

http://hananoe.jp/classical/gakunomori/gakunomori088.html

 
陶酔の様式
 
 ワンフレーズだけで聴き手を陶酔させる音楽がある。ギョーム・ルクーのヴァイオリン・ソナタはその最たる例で、冒頭の旋律が流れると心がとけそうになる。ゆるやかに下降して上昇するこのフレーズだけでルクーは音楽史に名を残したといっても過言ではない。それほどまでに美しい。

 ギョーム・ルクーは24歳の若さで亡くなったベルギー出身の作曲家。1870年1月20日に生まれ、フランスのポワティエで教育を受け、15歳で作曲を始めた。1888年にパリに出てセザール・フランクに師事、1890年にフランクが亡くなった後はヴァンサン・ダンディに師事する。1891年にはローマ賞に応募し、カンタータ『アンドロメダ』で2位を獲得したが、この結果に納得せず受賞を辞退した。
 『アンドロメダ』を聴いて感銘を受けたのが同国の大ヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイで、彼はまだ無名に等しい青年に作曲を委嘱。ルクーはその期待に応え、1892年にヴァイオリン・ソナタを完成させる。その後、『アンジュー地方の民謡による幻想曲』などを手がけたが、1894年1月21日に腸チフスにより急逝した。チェロ・ソナタやピアノ四重奏曲はダンディによって補筆出版されている。

 「私は自分の音楽の中に己の魂のすべてを投入すべく苦心した」とルクー自身も述べているように、彼は大変な情熱家で、フランクのように献身的な性質を持ち、全身全霊を傾けて音楽にのめり込んだ。とくに偏愛したのは後期ベートーヴェンとワーグナーで、その作品を研究し、多大な影響を受けたようである。1889年にバイロイト詣でをし、『トリスタンとイゾルデ』を観て興奮のあまり気絶、担架で運ばれたというエピソードも有名だ。

 ルクーの作品には円熟味がないと評する人もいるが、ヴァイオリン・ソナタを聴いた上でそういう感想が出てくるとすれば、それは偏見におかされているといわざるを得ない。モーツァルトやシューベルトが22歳の時に書いた作品を円熟していないと批判するのと同じである。このヴァイオリン・ソナタはあくまでも完成された芸術であり、天才にとって年齢が無意味であることを示す証である。

 第1楽章はソナタ形式。陶酔的な序奏が作品の雰囲気を決定する。ヴァイオリンに負けないくらいピアノの活躍が目立ち、お互いに情熱の高まりを見せながら、長い展開部を経て再現部にいたる。序奏の旋律が要所に織り込まれ、全体の均整もとれている。
 第2楽章は三部形式。「ごく穏やかに」という指示で、八分の七拍子で始まるが、曲が進むにつれてリズムが複雑に変化する。翳りのある民謡風のメロディーが美しく、静かに不安定に揺れながらも、調和が崩れることはない。瞑想的な雰囲気もある。
 「極めて活発に」と指示された第3楽章はソナタ形式で、情熱的な主題を提示する。緊張と弛緩を繰り返した後、第1楽章の序奏部が現れ、一時的に美の中で逡巡するが、再びエネルギーを取り戻し、ヴァイオリンが高らかに歌い出す。そしてピアノと共に劇的なコーダを形成する。

 フランクの循環形式を採り入れた構成で、なおかつワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の雰囲気をまるごと持ち込んだような陶酔感、恍惚感が強い印象を残す。ヴァイオリンとピアノの双方を存分に活躍させ、伝統的な形式を持ちながらも古さを微塵も感じさせない。冒頭の一小節をとってみても、「ヴァイオリンはこのように歌うのが最も美しいのだ」という信念が伝わってくるかのようだ。多くの名ヴァイオリニストたちがレパートリーに加えていたのも納得である。

 ベルギーで活動していたヴァイオリニスト、アンリ・コックが弾いた1932年の録音は、外面的な派手さはないが、楚々とした美しさを持つ高潔な演奏で、音質の古さが気になるよりも先に、邪気のない音色、作為のない歌心に引き込まれる。語りかけるように顫動する第2楽章のヴァイオリンの美しさは特に忘れがたい。
 

 同じくベルギー出身のアルテュール・グリュミオーの2種類の録音(1955年、1973年)も良い。どちらも気品のある歌い回しで魅力的だが、私は1973年の演奏の方に親しんでいる。1965年に録音されたクリスチャン・フェラスの演奏は非常に耽美的で、第1楽章冒頭はまるで天使の溜息のような美しさ。フェラスと同等の存在感を示すピエール・バルビゼの卓越した伴奏も聴きどころだ。1981年に日本で録音されたローラ・ボベスコの演奏も大事な遺産のひとつ。ジャック・ジャンティのピアノがやや出過ぎている部分もあるが、ボベスコのヴァイオリンは音楽と一体化して無限に上昇するかのよう。彼女がこの作品を愛していたことがよく分かる。

http://hananoe.jp/classical/gakunomori/gakunomori088.html

 

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フェラス

Lekeu: Violin Sonata in G major - Ferras, Barbizet

Violin: Christian Ferras
Piano: Pierre Barbizet
Recorded: 13-14, October 1965, Jesus Christus-kirche

 

Lekeu, violin sonata - Video Score - Christian Ferras

Christian Ferras, violin
Pierre Barbizet, piano

 

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Lekeu Violin Sonata Henri Koch 516549-50A
https://www.youtube.com/watch?v=wrUJrKzm1mo
https://www.youtube.com/watch?v=8zbGsclG5EA
https://www.youtube.com/watch?v=b-e1kRkYBhw

ルクー:ヴァイオリン・ソナタ ト長調(1/3)
アンリ・コック[1903~1969](ヴァイオリン)
シャルル・ファン・ランケル(ピアノ)
使用SP:516.549~50A
1932年録音

阿佐ヶ谷ヴィオロンSPコンサート「21世紀にこれだけは残したいSPの名演奏」第­99回フランク&ルクー特集より。
蓄音器ビクトローラ・クレデンザによるアコースティック再生をマイクで収録。
収録:2009年6月21日 於:阿佐ヶ谷 音楽喫茶ヴィオロン
写真:レーベル→アルバム→アンリ・コック

 

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ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)/ジャック・ルヴィエ(ピアノ)(1987録音)。

 

ヴァイオリンとピアノのためのソナタ (1891)
https://www.youtube.com/watch?v=Z89DdTb97ro
https://www.youtube.com/watch?v=5A2cBZguvrw
https://www.youtube.com/watch?v=QL7LeK77AnY

Jean-Jacques Kantorow
Jacques Rouvier

 

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ローラ・ボベスコ(ヴァイオリン)/ジャック・ジャンティ(ピアノ)(1981年録音)

 

Lekeu Violin Sonata in G - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLwJ6arrn7roIBYsbDsbz_NLS-sbBWvhyd

Artist: Jacques Genty
Artist: Lola Bobesco

 

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アルトゥール・グリュミオー(ヴァイオリン)/リカルド・カスタニョーネ(ピアノ)(1955録

 

Lekeu: Violin Sonata, Grumiaux & Castagnone (1955) ルクー ヴァイオリン・ソナタ グリュミオー&カスタニョーネ

Arthur Grumiaux (1921-1986), Violin
Riccardo Castagnone (1906-1983), Piano
Rec. December 1955 [Philips]

 

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ギヨーム・ルクー 『ピアノ三重奏曲』

 

グリュミオー三重奏団

Guilleaume Lekeu "Piano Trio" Trio Grumiaux



Piano Trio in C minor by Guilleaume Lekeu

1.Lent
2. Très lent
3. Très animé
4. Lent


Trio Grumiaux

 

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ギヨーム・ルクー 『ピアノ四重奏曲』

 

Lekeu - Piano Quartet (unfinished) (Audio+Sheet) [Ens. Musique Oblique]


I. Dans un emportement douloureux. Très animé 00:02
II. Lent et passionné 15:50

Ensemble Musique Oblique
Elisabeth Glab, violin
Françoise Gneri, viola
Isabelle Veyrier, cello
Alice Ader, piano

 

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知られざる名曲の玉手箱

http://kisonoabaraya.qcweb.jp/lekeucomplete.htm


24歳で腸チフスのために亡くなった夭折の天才作曲家、ギヨーム・ルクー(Guillaume Lekeu, 1870~1894)。
若き天才の音楽は、火の玉のように熱く、濃厚なロマンと輝くオーラを放ちます。
官能的な旋律美、メランコリックで抒情を帯びた響き・・・魅惑的です、惹かれます。

1994年に、没後100年を記念して、母国ベルギーのリチェルカーレ・レーベルから「ルクー作品全集」がリリースされましたが、やがて廃盤に。
私はバラで4枚集めたのですが、残りを入手することはできず、半ばあきらめていました。
ところがびっくり、2015年にボックスセットとして安く再発されたではありませんか!
いやあ、長生きはするものです。

曲順は以前の発売時とは変わっており、再編集されて全9枚だったものが8枚になっています。
1枚目に代表作「ヴァイオリン・ソナタ」と最後の作品(未完)の「ピアノ四重奏曲」が収められていて、いきなりガツンときます。
演奏者は国際的にはあまり知られていない人たちではありますが(おそらくほぼベルギー人)、作品への共感が半端なく、
力強く熱のこもった名演に胸が熱くなります。

2枚目以降に収められているのは、無名の曲ばかり。
しかし「知られざる名曲」と呼ぶにふさわしい珠玉の傑作がちりばめられていて、しばしばはっとさせられます。

とくに驚いたのは管弦楽作品の意外な(失礼)素晴らしさ。
「交響的習作第2番『ハムレット/オフィーリア』」(1890)は、
師匠フランクの影響を感じさせながらも、フランス的近代和声とバロック風な音の運びの組み合わせが斬新で、
すでに独自の魅力をビンビンに発揮しています。

 

「ピアノ・ソナタ」(1891)は、2つのフーガ楽章をもつ全5楽章のソナタ。
二十歳やそこらでなんという大胆な音楽を書くのでしょう。
冒頭から、透明な宝石が滴るような美しさにただ陶酔。
バッハに範をとったようなフーガが次第に厚みを増し、熱を帯びてゆく様は、巨大な音の伽藍が構築されるのを見る思い。
分厚い和音、ロマンテックな和声は非常に近代的、いや現代的ですらあります。
ときどき、「ビル・エヴァンズかよ、これ」と言いたくなるほど独創的な和音が出てきます。
なんつうぶっ飛んだソナタ、恐るべしギヨーム・ルクー。

 

そして大曲、カンタータ「アンドロメダ」(1892)
「ローマ賞」第2位となるも、本人は「2位じゃダメなんです!」と受賞を拒否したいわくつきの作品。
非常にテンション高い曲です、熱い熱い暑苦しいまでの激情のほとばしりを存分に堪能できます。

 ルクー「アンドロメダ」室内楽版より
 

いや、とってもいい曲ですよ。
それが証拠に、名ヴァイオリニストのウジェーヌ・イザイは、「アンドロメダ」を聴いて感銘を受け、ルクーにヴァイオリン・ソナタの作曲を依頼することになります。
その結果作られたのが、ルクーの最高傑作「ヴァイオリン・ソナタ」です。

長生きしていたら間違いなくドビュッシー、ラヴェルと肩を並べる存在になっていたはず。
そんなルクーの全作品をCD8枚に収録し、コンパクトなボックスにまとめたこのセット、フランス音楽好きには見逃せません&聴き逃せません。
(2016.02.08.)

http://kisonoabaraya.qcweb.jp/lekeucomplete.htm